http://globe.asahi.com/art_fashion/2014111400020.html
http://globe.asahi.com/breakthrough/2014111300001.html
「マイ・リトル・パリ」のオフィスには、九重のイラストがあふれる。ミーティング用のスペースの壁にはパリジェンヌ。自分では「絵は決してうまくない」と思っている
そんな街を九重(くのう)加奈子(39)は描く。薄いグレーで微妙に塗り分けた屋根の上に、シャンパンを手にしてはしゃぐドレス姿。フランスパンをつかんで歩くムッシュー。洋服やボトルにそっとオレンジや緑の色をのせる。「地味なようで、ちょっとした色合いが美しい」。そんな「私のパリ」だ。作品が載るサイトは、150万に迫ろうかというファンを引き寄せる。
サイトの名は、パリジェンヌ御用達の「マイ・リトル・パリ」である。ファッションにグルメにビューティーに。友達がそっと教えてくれるような耳より情報が、九重が描く街、人、暮らしのイラストとともに届く。「写真よりも本当の姿を浮かび上がらせてくれる」。社長のファニー・ペショダ(37)は全幅の信頼を置く。
「マイ・リトル・パリ」は、ニュースレターとして2008年に始まった。コスメやおしゃれ雑貨が、季節やテーマにあわせて届く「マイ・リトル・ボックス」は、13年に日本版が登場(www.mylittlebox.jp)し、この秋には英国にも上陸した。パリジェンヌに「カナコのイラストでパリがますます好きになった」と言わしめる。パーティーではサインを求められる。「なんでこんなことになっちゃったんだろう」。売れっ子になった自分が、不思議でならない。
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